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雇用保険 要件緩和検討

厚生労働省は現在、雇用保険に関して2024年通常国会での関連法改正に向けた議論を進めています。
主な議題は以下の3つです。
・雇用保険 適用拡大
・教育訓練給付などリスキリング(学び直し)
・育児休業給付金など子育て支援

雇用保険適用拡大ですが、政府は雇用保険の加入要件である週の労働時間「20時間以上」から「10時間以上」に緩和する方向で議論していることが分かりました。
これが実現すると、パート・アルバイトといった短時間労働者500万人の新たな加入が見込まれます。近年働き方が多様化していることを踏まえ、失業や育児休業給付を受け取れる環境を整備し、安心して出産や子育てができるセーフティネット強化の狙いがあります。
政府が掲げている「次元の異なる少子化対策」の一環として、来年の通常国会で関連法案を提出し、2028年度にも実施を目指しています。

雇用保険ではそのほかに、リスキリング(学び直し)や育児休業給付金の拡充等についても検討されています。
リスキリング(学び直し)については、資格学習の費用を助成する「教育訓練給付」の拡充し、補助率のさらなる拡大や人工知能(AI)分野などデジタル人材の強化につなげる狙いがありそうです。休業した際の雇用維持に力点を置いていた雇用調整助成金においても、教育訓練を合わせた場合の助成率を優遇するといったことが進められます。
子育て関連では、育児休業給付金の拡充に注目が集まっています。
両親とも育休を取得した場合に最大28日間の手取り相当保証のため給付率を賃金67%から8割程度に引き上げることや、育児のための時短勤務で収入が減らないよう手取り減少分を補てんする仕組み創設に向けた議論が展開されています。

しかし雇用保険の財源には課題があります。近年の新型コロナウイルス禍により膨らんだ雇用調整助成金の影響が大きく、対象企業に計5兆8700億円を支給した結果、資金残高は底をつき、当面は失業等給付積立金からの借入でしのいでいますが、積立金も近年減少しています。
今後制度拡充が進めばさらなる財源の基盤強化が求められるため、結果として企業や労働者の負担増につながる可能性があります。

雇用保険の制度改正が労働環境へ与える影響は大きく、今後の動向に注目していく必要があるでしょう。

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