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「知らなかった」は通用しない 安全配慮義務

安全配慮義務とは…
ある法律関係に基づいて、特別な社会的接触の関係に入った当事者間において、その法律関係の付随義務として
当事者間の一方または双方が相手方に対して「信義則上」追う義務のこと。
労働者が労務提供のため、使用者が設置する場所・設備もしくは器具等を使用し、又は使用者の指示のもとに
労務を提供する過程において、労働者の生命及び身体等を危険から保護するよう配慮するべき義務
(労働契約に不随する義務)のことです。

義務の具体的内容には以下の2つがあります。
①危険予知(予見)義務
労働者が置かれている物理的状況下で生命・身体・健康にいかなる危険が発生するのかを予見する義務
②結果回避義務
予想した危険が現実化することのないように結果を回避するための対策をとる義務

※ポイント※
安全配慮義務の対象は、雇用関係のある社員だけではありません。
下請け業者の労働者は「特別な社会的接触の関係」として対象となります。
事業者側は、仕事をする環境下での危険箇所をあらゆる面から予めまた定期的に確認・改善し、労働者が安心・
安全に仕事が出来るようにしなければならないのです。
しかも、「信義則上」というのは、契約書・就業規則に記されていないことでも対象になるということ。

つまり、「知らなかった」「予見できなかった」は通用しないということです!

侵入した強盗犯に当直として勤務していた従業員が殺害された昭和59年に発生した川義事件では、犯人から
身を守る手段の配慮が足りなかったなどとして、殺害された従業員の両親が事業者である呉服店に損害賠償を
求めて提訴、最高裁判所にて初めて民間企業に安全配慮義務が認められました。

それから30年以上が経ち、安全配慮義務はセクハラや自殺といった物理的でないものに対しても派生し
広がり続けています。
民法もそれに合わせて改正し、損害賠償の請求権の時効が最長20年に延長されるなど、安全配慮義務が
ますます重要視されてきています。

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