定年再雇用 同一労働で格差
定年退職後に再雇用された非正規労働者が、同じ仕事をしているのに賃金が下がったのは不当として
会社に是正を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁判決では6月1日、
格差の妥当性を判断するには定年後の再雇用という事情も考慮すべきだとの初判断を示しました。
その上で格差の大部分は不合理ではないと指摘。
一方、物流会社で契約社員として働く運転手の男性が、正社員との待遇格差の是正を求めた訴訟の上告審判決で、
一部の手当を契約社員にだけ支給しないのは違法と判断しました。
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N訴訟 |
H訴訟 |
原告 |
定年後再雇用の運転手 |
契約社員の運転手 |
年収の差 |
定年前は500万円超 |
正社員の運転手は約600万円 |
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再雇用後は約380万円 |
契約社員は約360万円 |
一審判決 |
賃金引き下げは不合理 |
通勤手当の格差は不合理 |
二審判決 |
引き下げは不合理ではない |
通勤、無事故、作業、給食の各手当の格差は不合理 |
最高裁判決 |
精勤、時間外労働手当の格差のみ不合理 |
二審判決に加え精勤手当も不合理 |
今後の企業側の対応としては、職務内容および変更範囲について差異を設ける等、
合理性を認められやすい賃金体系を構築する必要があると考えられます。